ここはプリケッツ通り4番地。 日曜日の朝の爽やかな風が、ここダリー家に吹き付ける。 一家の主、パーマン・ダリーは苛立っていた。 養子のハリソン・ポッターが、トイレのドアを開けようとしないのだ。 『ヘルニア!ヘルニア!!この糞坊主をなんとかしろ!!!』 ハリソンは、彼の妻ヘルニアの甥っ子だった。 ハリソンの両親が死んだ後、ダリー家の玄関先で当時赤ん坊だったハリソンが裸で踊っていて、育てることになったのだった。 しかし、ダリー家はハリソンを大事にはせず、息子のカロリーとは全くの別扱いで、ハリソンを2階のトイレに住まわせている。 この日は、愛息子のカロリーが1階のトイレを使っている間にパーマンの胃腸が限界を迎えたところだった。 ハリソンにはこの後ひどい仕打ちが待ち受けているのがわかっていた。それでもいつもの仕返しをしてやれるのにこんなにいい機会はないと思ったのだった。 パーマンは30分ほど悶絶した挙句、ドリルで鍵を壊してようやくトイレのドアを開けたのだった。 『この糞坊主!バカ!ドジ!オタンコナス!!こんなことをして、どうなるかわかってるだろうな!!!!』 『ごめんなさい、パーマンおじさん。』 『なんだその謝り方は!とにかくもう私の腸は破裂しそうなんだ!早く出ていけ!!!』 『わかったよ。でもおじさんバカだね。カロリーのやつはとっくにトイレ出てるよ?』 『うるさい!!!!!』 パーマンおじさんは声を荒げた。 3時間後、パーマンおじさんはトイレから出るなりハリソンに殴りかかった。 暴力は5時間にも及んだ。 尻をムチで叩かれ、鼻の穴にバナナを詰められ、タワシの上に立たされ…… ハリソンはいっそのこと死んでしまいたいと思った。 そんな時だった。 ダリー家の窓という窓に大量のハエが襲いかかった。 ハエは隙間という隙間から家に侵入し、それぞれ一枚ずつ持った紙を置いて出て行くのだった。紙にはそれぞれ文字と番号が書かれていた。 ハリソンは番号順に並べると文章になるのだと確信した。 パーマンおじさんとヘルニアおばさんは青ざめた表情をしていたが、ハリソンは興味津々で文字を並べた。 『ハリソン・ポッター殿。貴殿のポーツマス魔法魔術学校入学を許可する。校長ヘルペス・ドコデモドア』 ハリソンはなにがなんだかわからないままパーマンおじさんに訊いた。 『僕、僕、この学校に行ってもいい!?』 『あぁ、もちろんだ。いいとも!!!!!』 ハリソンはそんな優しいおじさんが大好きだった。